共振法シミュレーション
伝送線路の二次定数測定で使われる共振法の誤差要因の影響を
体感することを目的としたシミュレーションです。
3C-2V同軸ケーブル 1 m の試料をOpen-Short法で測定する状況
を想定しています。
左端のチェックボックスにチェックを入れると誤差要因を考慮に入れて計算します。
高周波に於けるケーブルの二次定数測定では、
- 終端短絡試料と終端開放試料の長さの違い
- ケーブル始端の浮遊インダクタンス
- ケーブル始端の浮遊キャパシタンス
- 終端短絡試料の終端インダクタンス (fringe inductance)
- 終端開放試料の終端キャパシタンス (fringe capacitance)
などの誤差要因がopen/short法に致命的な影響を与えますが、
同調法の場合はこれらの誤差要因の影響が小さく、
しかも原理的に精度の高い周波数測定を基本にするため、
確度の高い測定方法になります。
ただ、試料の作成技術が重要なことはopen/short法と同じです。
ケーブル始端の不連続部分はインタクタンスに見えるのが普通ですが、
接続の仕方によってはキャパシタンスに見えます。
この点については、
ケーブル接続部分の回路モデルを見てください。
この部分が回路的にどう見えるかはTDRで観察すると良くわかります。
このシミュレーションで使っている測定法は次ぎのとおりです。
- 前提
- 1 MHz から 1 GHz 程度の周波数でインピーダンス測定可能な測定機を使う
- 測定機自体の測定誤差はない
- 試料は3C-2V程度の同軸ケーブルで、長さは 1 m
- 試料と測定機校正面との間の浮遊インピーダンス
(インダクタンスかキャパシタンス)の存在は不可避
- 測定法
- 終端開放試料の 1/4 波長周波数 f0 を求める
- 測定可能な最低周波数から 1 MHz 刻で 0.8*f0 までの入力インピーダンスを
求める
-
分布定数補正により、高周波に於ける試料のキャパシタンス C (F/m) を求める
- 測定可能な最高周波数までの間に存在する (2n+1)/4 波長(n = 1, 2, 3, ..)
共振周波数とそれに対応する入力インピーダンスを求める
- 平均共振周波数差 df と試料長から速度係数 Vr を求める
- C と Vr から試料の特性インピーダンス Z0 を求める
- (2n+1)/4 波長共振周波数に於ける試料の入力インピーダンスから
減衰定数 α (neper/m) を求める
- 周波数を f (Hz) として α(f) に α = b1 * sqrt(f) + b2 * f をあてはめて、
全周波数範囲に於ける減衰を決定する
平林浩一, 2016-04