1) 電源 E1、スイッチ S1 と S2、同じキャパシタンス C を持つ二つのケーブル C1 と C2 だけを持つ宇宙を考えます。 2) スイッチ S1 を閉じて、電源電圧 E まで充電すると、ケーブル C1 に蓄え られる電荷は Q = C*E になります。 3) スイッチ S1 を開きます。 4) スイッチ S2 を閉じると、ケーブル C1 の電荷の半分が、ケーブル C2 に 移動して、C1 と C2 の電圧が等しくなります。さて、ここで 2) と 4) の状態でケーブルに蓄えられているエネルギを考えてみま しょう。まず、2) の状態で、ケーブル C1 に蓄えられているエネルギ W1 は、
W1 = (1/2)*C*E*E = (1/2)*Q*Q/C次ぎに、4) の状態でケーブル C1 と C2 に蓄えられているエネルギの合計 W2 は、
W2 = 2*((1/2)*(Q/2)*(Q/2)/C) = (1/4)*Q*Q/C = W1/2なんと、スイッチ S2 を閉じたとたんに、この宇宙のエネルギの総和は 1/2 にな りました! つまり、物理学の根本原理である、「エネルギ保存則」の反例がたっ たこれだけの道具で作れてしまうのです。ノーベル賞をもらうには、ケーブルを 1m も買えば十分。
しかし、本当に「エネルギ保存則」が間違っているのでしょうか。あるいは、4) で仮定した「電荷の保存則」が間違っていて、物質そのものが消滅してしまうの でしょうか。
平林 浩一