Peg Solitaire - 続き (1)

解のパターン

この問題の解のパターンが5つしかないというスマートな証明が、 Idaho 大学の Arie Bialostocki により得られました。(注1)

まず、個々の盤の座標に下記の値(x,y,z)を割り当てます。

      x y z
      y z x
  x y z x y z x
  y z x y z x y
  z x y z x y z
      z x y
      x y z
この値付けのポイントは、例えば、

  x から y を越えて空所 z に移動
という「越えて移動する操作」を 「+」演算子を使って、
  x + y = z
と記述すると、
  x + y = z
  y + z = x
  z + x = y
  x + x = y + y = z + z = 0
  x + 0 = x
  y + 0 = y
  z + 0 = z
という加法群が構成できることです。

そこで、まず、 開始局面のすべてのペグの値の総和 を求めると y になります。

次に、x + y = z, y + z = x, z + x = y を考えると、 ペグの飛び越し移動と除去という操作では、 盤に残ったペグの値の総和は変わりません。

つまり、ゲームの間、ペグの移動にかかわらず、 盤に残ったペグの値の総和(y)は不変ですから、 ペグが1つだけ残るという最終局面では、 残ったペグは値 y(Y) を持つことになります。

      . y .
      Y . .
  . Y . . Y . .
  y . . y . . y
  . . Y . . Y .
      . . Y
      . y .

一方、回転および上下左右の対称性を考えると、 上図の Y は盤の置きかた次第で x になったり z になったりしますから、 盤の置きかたにかかわらず y の値になれる場所は、y だけです。

かくて、最終局面で残るペグの位置は下図の5箇所だけになりましたが、

      . y .
      . . .
  . . . . . . .
  y . . y . . y
  . . . . . . .
      . . .
      . y .
この直前の状態は下図のとおりですから、 すべて中心に1つのペグを残せるパターンになります。
      . . .
      . z .
  . . . x . . .
  . z x . z x .
  . . . z . . .
      . x .
      . . .

注1

  A.Bialostocki,- An Application of Elementary Group Theory to Central Solitaire,
  The College Mathematics Journal, v 29, n 3,May 1998, 208-212.