温度湿度計測が必要になる状況は非常に多いのですが、 日本製の場合は特に『Windows で使えれば十分。 プログラミングマニュアルは非公開』という時代錯誤の製品がほとんどで、 LAN 接続可能で Unix でも使える製品が少ないのが現状です。 Microsoft 自体が OS ビジネスから Amazon, Google の後追いで cloud computing に転換し、 そこでは Windows でなく Linux を選んでいる状況を考えれば不思議ですが、 日本はなかなか先頭に立てません。
今回、自宅のいくつかの場所では、 この少ない例外の一つである、 OMRON EQUO シリーズ環境センサーのうち ZN-THX21-S (温湿度ステーション) と ZN-THS11-S (高精度温湿度センサヘッド) の組み合わせを使ってみました。 この製品の場合は「通信コマンドマニュアル」が入手可能で、 自分でプログラムを書くことができます。 というより、 何故か CD-ROM に含まれる Windows アプリケーションでは Default Gateway の設定もできませんので、自分で書くしかない状況は多いと思います。 (注1)
DC 24 V 外部電源以外に単4二本でバッテリ駆動もできて、 内蔵メモリか SD カードにデータの記録ができますので、 一時的な計測にも便利です。 (注2) また、open-collector の警報出力端子が用意されています。
LAN 接続する場合、 温湿度ステーション自体でも内蔵メモリに 8,500 サンプルまで(SD カードに記録も可)のデータ記録ができるのですが、 それを LAN 経由で読み出すことはできず、 マニュアル操作で SD カードに書き込んで、 SD カードを読むしかありません。 そのため、通常は一定時間毎に LAN 経由で(その時点の)測定値を読み取って記録し、 非常時に内蔵メモリの記録を使うといったことになります。
LAN 経由でできることは少なくて、次のとおりです。 ただし、電力センサ、エア流量センサなど、 他のセンサを使う場合は、もう少し増えます。
コマンド名 | 内容 |
---|---|
N-REQ | 最新の測定値取得 |
C-STOPREC | 記録開始 |
C-STARTREC | 記録始停止 |
C-OUTREC | 記録データ(SD カードに)書き出し |
C-RESET | リセット(再起動) |
C-ALRALM | アラーム解除 |
C-CLRERR | エラー解除 |
S-R | 設定値読み出し |
S-W | 設定値書き込み |
S-RTCR | 時刻取得 |
S-RTCW | 時刻設定 |
S-MODE | モード設定 |
C-INIT | 設定値初期化 |
S-VER | バージョン情報取得 |
S-RS | ステータス情報取得 |
温湿度センサを使う場合、モード設定は測定モードと 設定値変更モードしかありません。
設定値書き込みコマンドは、 測定条件、測定値の内容、記録法、アラーム出力条件、 動作モード、ネットワーク設定などの設定に使います。
製品付属の CD-ROM には Windows のアプリケーションプログラムしかないのですが、 OMRON から「環境センサ EQUO シリーズ 通信コマンドマニュアル」が入手できますので、 プログラムを書くことができます。 「環境センサ EQUO シリーズ 通信コマンドマニュアル」 という資料が下記のいずれかから入手可能です。
なお、 温湿度センサとしては ZN-THS17S という自立型で測定範囲が狭い製品もあります。
試して見ると DC 12 V 電源でも動きます。 保証はできませんが、バッテリ駆動の電圧が低いので、 動きそうな気がします。 可変電圧源があるとはっきりするのですが、 引退して使える資材がなくなってしまいました。 そのうち作ります。
平林 浩一, 2016-12