ネットワークアナライザ シミュレーション

ネットワークアナライザの表示と試料の関係、 試料接続部分の誤差要因の影響を体感することを目的としたシミュレーションです。

試料(ケーブル)の特性インピーダンス (Ω)
試料の長さ (m)
試料の誘電体外径 (mm)
システムインピーダンス (Ω)
掃引開始周波数 (MHz)
掃引終了周波数 (MHz)
有効 値
試料の送端接続インダクタンス (nH)
試料の送端接続キャパシタンス (pF)
試料の受端接続インダクタンス (nH)
試料の送端接続キャパシタンス (pF)
「有効」チェックボックスにチェックを入れた場合のみ、 指定した値の誤差要因を考慮した計算を行います。

試料のモデルとしてはポリエチレン充実絶縁の同軸ケーブルを使っていますので、 速度係数は 1/sqrt(2.3) になります。 絶縁体径を 3 mm にすれば3C-2V同軸ケーブル相当になります。

「システムインピーダンス」はネットワークアナライザのシステムインピーダンスで、 通常の市販品は 50 Ω(純抵抗)です。 映像や音響現場向け市販品には 75 Ωの製品もありますが、 システムインピーダンスは比較的簡単な計算で変換できますので、 特に必要というわけではありません。

ネットワークアナライザの実用化は優れた回路技術と校正技術の開発によるもので、 精密なインピーダンス標準と正確な校正手続きが不可欠です。

試料接続部分に於ける校正誤差以外の誤差要因としては、 試料とポートの接続部分の浮遊インピーダンスの存在が大きくて、 試料の作成方法と試験機への接続方法の工夫が勝負を決めることになります。

測定周波数の上限波長に比べて試料接続部分の寸法が充分小さい場合は、 試料接続部分が集中回路としてのインダクタンス素子、あるいは、 キャパシタンス素子に見えますから、 この誤差の感覚を把握しておくことが重要で、 このシミュレーションでは試料送端側と受端側の浮遊インピーダンスを インダクタンスかキャパシタンスのいずれかとして指定できるようにしてあります。

ケーブルの伝送特性をネットワークアナライザで調べようとすると、 試料両端の反射波の影響を考慮しなければなりませんが、 試料の特性インピーダンスとネットワークアナライザのシステムインピーダンスを 変えてシミュレーションしてみると、 この問題がよくわかると思います。

ケーブルのような方向性のない部品では

  S11 = S22, S21 = S12
がなりたちますので、S11S21のみ計算しています。

平林浩一, 2016-04