屋外 CO2 濃度

東京都世田谷区宮坂 2 丁目の屋外 CO2 濃度です。

屋外大気 CO2 濃度は地球温暖化の視点から問題にされることが多いのですが、 より見近な問題として屋内換気に与える影響があります。

屋内 CO2 濃度が C を越えないように管理するのに必要な換気風量は 定常状態で

  Q = M / (C - C0)                                    (1)
  ここに、
	Q = 換気量 (m^3/h)
	M = CO2 発生量 (m^3/h)
	C = 室内の汚染濃度 (m^3/m^3) .. ppm なら 1e-6 倍)
	C0 = 導入空気の汚染濃度 (m^3/m^3) .. ppm なら 1e-6 倍)
ですが、 室内 CO2 汚染濃度 C の上限を 1,000 ppm にするのが 国際的な基準になっています。

CO2 発生量 M は例えば、空気調和・衛生工学会規格(HASS 102-1996)だと

  作業程度  CO2 発生量(m^3/(h*人)
  安静時    0.0132
  極軽作業  0.0132 - 0.0242
  軽作業    0.0242 - 0.0352
  中等作業  0.0352 - 0.0572
  重作業    0.0572 - 0.0902
といったところですが、 導入空気の汚染濃度 C0 ついては、 400 ppm が建築法規の前提になっています。

しかし、東京都世田谷区宮坂の筆者が暮らす自宅で実測してみると、 屋外 CO2 濃度が 400 ppm 以下になるのは稀で、 700 ppm を越え、800 ppm にまで近付くことがあります。

必要な換気量は (C - C0) に反比例しますから、 C が 400 ppm から 700 ppm に増えると、 換気量を 2 倍にしなければならず、 高気密住宅で使われる換気装置では対応できません。 まして 800 ppm になったら打てる手がない。

つまり、 現時点の建築法規や建築設計の原則に従った高気密住宅では 居室の CO2 濃度を 1,000 ppm 以下に維持することができないのですが、 これは東京都市部の都市計画には根本的な無理があって、 分散化を考えなければならない状況に陥っていることを意味します。

当初はこの CO2 濃度の変動原因がわからなかったのですが、 仕事で長年暮らした長野県塩尻市から東京都世田谷区の生家に戻って、 屋外 CO2 濃度と全居室の CO2 濃度の測定を始めて 2 年以上経ってから、 同じ場所の気象データと比較した結果、 屋外 CO2 濃度が外気の風速が小さいと上昇することに気づきました。 つまり、東京全体の換気が気象学的な空気の流れで決められていたわけです。 無風状態だと、屋外 OC2 濃度は急上昇します。

なお、COVID-19 の外出自粛時はこの場所でも 300 ppm 台になりましたし、 筆者が以前暮らしていた長野県塩尻市の市街地近くとか、 筆者が関係する横浜市神奈川区の海に近い医院では 400 ppm 程度で安定していました。